厚木市役所 庁舎移転問題

昨日から厚木市議会2月定例会議が始まりました。

昨日提案された議案の一つが、市庁舎移転についてです。

移転場所は、厚木バスセンター周辺地域ですが、いざという時災害対策本部を設置する市庁舎をここに持ってくることは、水害や交通渋滞など課題が多いため、多くの市民の皆様が心配されています。

市は、この議案を出す前に、『図書館、仮称未来館、市庁舎を含む複合施設建設計画案』を示し意見を募る『パブリックコメント』を実施しています。
そのパブリックコメントの結果を『厚木市議会中心市街地活性化特別委員会(非公開)』で質問された際、市の職員は「賛成または賛同は80%強、反対は8%強」と答え、議員席からは驚きの声が上がりました。
この結果を真に受け、「市民の8割が賛成しているなら、反対しづらい」と思う議員が出てくる可能性があります。
実際、そのような声も聴きました。

そこで議員資料請求をして、そのパブリックコメントの写しと、どの意見を賛成や反対と判断したのかわかる資料を出してもらいました。

その結果を含め、昨日の本会議で発言したことを、今回の投稿の最後に記します。

尚、私の発言を聞いた他の議員からは、「この話が本当なら恣意的だ」との発言まででました。

分の悪くなった市側は、「非公開の場で答えたことを本会議で議論することはいかがなものか」と発言しましたが、公開だろうが非公開だろうが、これから市庁舎移転に対して賛成か反対かの判断をする議員に示した情報は、議論が必要になるものであってはならないと思います。

誠実な市政運営を強く求めます。

 

 

<本会議での私の質問>
1.議案第13号厚木市役所位置設定条例の一部を改正する条例について、所管外ですので、この場でいくつか確認させていただきたいと思います。
厚木市複合施設等整備計画基本計画案に対するパブリックコメントの結果は、80%が賛成または賛同、反対は8%だったとの報告を頂きました。
この数字を、議案第13号の賛否を判断する目安にしてしまっていいのか、お伺いします。

2.そもそもパブリックコメントとはどういう性質のものか、総務省のホームページで確認しますと、「行政機関が命令等(政令、省令など)を制定するに当たって、事前に命令等の案を示し、その案について広く国民から意見や情報を募集するもの。これは平成17年6月の行政手続法の改正により新設された手続。」とあります。
また、行政手続法第42条(提出意見の考慮)では、提出された意見を十分に考慮しなければならないと定めています。
パブリックコメントとは、寄せられた意見の内容を尊重するものであるにもかかわらず、今回は賛成または賛同、反対、その他で分類し、その数値をパンブリックコメントの結果であるように報告をされました。
この行為に問題点がないか伺います。

3.賛成か反対かの問いを設けず、自由記述の意見を賛成または賛同、反対、その他の3つに分類し、その数値のみを報告する際には、疑義を持たれないよう慎重に作業する必要があります。
今回、賛成または賛同は80%強、反対8%強との結果のみ報告されその根拠となる資料が配布されませんでしたので、議員資料請求をして出して頂きました。
根拠となる資料とは、パブリックコメントの写しとともに、そのコメントが、賛成、賛同、反対、その他のうちどれに分類されたかわかる資料です。
すべてチェックしましたが、これは果たして賛成または賛同に分類していいのかと思うコメントがかなりありました。

例えば、
「市庁舎にはいろいろな人が来る。ニュースでは包丁をもって市役所に怒鳴り込んでくる人もいるという。図書館・仮称未来館が市庁舎と一緒になった場合は、何かあった際に子どもたちが自力で逃げることができる施設になるのか不安を持っている。子どもたちが迷わないで逃げられる施設にしてほしい。
アミューの子育て支援センターは、一見おしゃれに見えるが案内が不足していて後から張り紙がペタペタ貼ってあり残念に感じる。また市立病院は新しくなったのに狭くて寒いと友人が言っていた。複合施設は設計の段階で利用者の意見を聞いてもらいたい。」その後にもいろいろ要望が書いてあるのですが、この内容のコメントを賛同と判断しているわけです。
このコメントを出された方は、図書館や仮称未来館が市庁舎と一緒になることに不安を感じておられます。ですので、設計段階で利用者の意見を聞いてもらいたいと訴えておられるわけです。どう読み取ったら賛同になるのでしょうか。
こういうのは他にもたくさんあります。

「計画の目的は、周辺環境の機能としているが、不十分である」「公共空間の確保・創出について明確な方向性が示されていない」「施設配置の考え方における歩行者に向けたメッセージ性のある計画策定が必要である」との意見が入ったものも賛同に分類されています。

「中心市街地の全体構想と基本計画案のつながりが見えてこない。複合にすればするほどワンストップが難しくなる。庁舎窓口はワンフロアで収まり、上下移動がないほうがいいと思っている云々」
この意見も賛同に分類されています。

「アミューに図書館と未来館を全て入れられないのかと思っている。今の図書館は、書庫に眠っている本が多い」とだけ書かれており、複合施設に賛同しているのかどうかわからないこの意見も賛同に分類されています。

「地下道で様々なイベントをやっているが、駅東口にエレベーターが設置しておらず、車いすでの移動ができない。中町2-2地区での複合施設建設が決定しないと地下道は整備できないのか」このご意見も賛同。

「愛甲石田に第二庁舎を作ってほしい、車いす利用者やストーマ使用者に配慮し、トイレは大事に作って欲しい、点字ブロックは柔らかい素材のものを採用してほしい」このご意見も賛同。

「相模川が決壊した際は、間違いなく厚木の街中は浸水することが考えられます。災害時に陣頭指揮をとる行政の機能がとどこおらないよう災害に強い防災拠点を作ってください」
これは賛成に分類されていますが、複合施設等整備基本計画案への賛成意見といえるのでしょうか。

80%が賛成または賛同に分類されていますので、全部紹介していたらきりがないのでこれくらいにしておきます。

一方で、これらが「賛成」や「賛同」に分類されるなら、「その他」に分類されている中に目立つのが、反対を意図していると読み取れる意見が多いことです。

例えば、

「バスセンター裏にある自転車とオートバイの駐車場はどうなるのでしょうか。国県の機関を優先する前に、利用者のことを考えてください。」というご意見。

「厚木市は、昔から建物を建てることしか考えていない。本来は、道路整備が先になければならない。施設ばかり作っても道路がしっかりしていなければ地域住民が迷惑する。道路整備に力を入れて欲しい。」というご意見。

「国県市の施設が一体となり連携によるメリットもあるが、万が一建物が被災した場合を考えると、各施設を分散させたほうがリスク分散となり、業務継続にはメリットもあると思うがどうか」というご意見。

「いまどき、本社機能は不要であるため、市庁舎を建てる必要はない」というご意見。

「市の一等地にこのような施設が必要なのか。もっとほかの活用方法があるのではないか」というご意見。

「行政機関と図書館や未来館が複合することによるメリットがあるのかわからない」というご意見。

「本庁舎と第二庁舎の部署がすべて入るのか。狭あい化が問題と言っているのに面積が小さくなるのでは問題解決にならないのではないか。
セキュリティのことを考えると、図書館、仮称未来館のような不特定多数の人が入る施設と市庁舎を一緒にするのは問題があるのではないか。
雑居ビルにしてほしくない。複合化することによって市庁舎としての機能が薄れてしまわないようにしてほしい。
各施設が中途半端」等々。

これらの意見が入ったものが、すべてその他に分類されています。

その結果の賛成賛同80%強、反対8強%です。
先ほど申し上げた通り、行政手続法では、提出された意見を十分考慮しなければならないと定めており、その上で、厚木市市民参加条例第10条の2では、『実施機関は、パブリックコメント手続きにおいて、意見等の提出があった時は、提出された意見等の概要を公表しなければならない』と定義しています。
今回、示された賛成賛同80%、反対意見8%という公文書は、意見を寄せてくださった市民の意向を正確に反映したものとは言い難く、撤回すべきなのではないでしょうか。
そして、どうしても分類して%を出す必要があると判断されているのなら、疑義を持たれないように、分類しなおして公表すべきではないかと考えます。
見解を伺います。

4.昨年12月定例会議で、複合施設の建設予定地の敷地内の民有地について、調整は完了しているか伺った際、協力するとお話しいただいたうえで進めているとのことでした。
それから3か月経ったわけですが、この条例を出すからには、当然確約があってのことと思います。
文書等取り交わしているのか、まさか、口約束のみではないと思いますが、その点確認させてください。

5.一団地認定の解除の必要性についても、12月定例会議で確認させて頂きました。
その際、様々な手法があることや、市街地の一等地であり土地利用についてどういった形が一番望ましいのか、これから検討していく必要があり検証中とのことご答弁を頂きました。
ある程度方向性が固まったうえで位置条例改正案をだしておられるのか、建築の素人である私にもわかるようにご説明を頂きたいと思います。

6.前回、事業手続きを進めるうえで順番が間違っているのではないかと指摘させていただきましたが、いまのご答弁を頂き、走りながら考えることになってしまうのではないかとの不安が増しました。市庁舎移転という重要で大きな事業計画にその手法ははたして通用するのか疑問に思うところですが、ここから先は、委員会での審査に委ねたいと思います。

(これらの質問に対する市の答えは、後日配信されるインターネットでご確認をお願いします)